「I don’t have the bandwidth for that right now.」――同僚がこう言うのを聞いたことはありませんか。学校で習った意味のまま訳すと会話がかみ合わなくなる典型的なフレーズです。
学校や辞書で習う”bandwidth”は「帯域幅」。インターネット回線が一度に送れる情報量を表す技術用語で、IT系の英文でよく登場します。
ところが実際のオフィス英語では、”bandwidth”は「自分の時間的・精神的な余裕、キャパシティ」の意味で使われます。「I don’t have the bandwidth」は「今それに割く余裕がありません」というやんわりした断りの表現です。「I don’t have time」より柔らかく角が立たないため、上司やチームへの返答としてよく好まれます。
誤解しやすいのは、通信用語のイメージが強すぎて、初めて聞くと「回線の話?」と戸惑ってしまう点です。実際は仕事の負荷やキャパシティの話で、ネットワークとは無関係です。会議中に突然出てくると意味を取り違えやすいフレーズです。
例えば、次のように使われます。
① “Sorry, I don’t have the bandwidth to take on another project this month.”(すみません、今月はこれ以上プロジェクトを引き受ける余裕がありません)
② “Let’s ask Sarah, I think she has more bandwidth than I do right now.”(サラに頼んでみよう。今は僕より彼女の方が余裕がありそうだから)
似たような表現には、”My plate is full”(やることでいっぱいだ)、”I’m swamped”(忙殺されている)、”I’m stretched thin”(手一杯だ)などがあります。どれも「忙しくて余裕がない」を婉曲的に伝える定番フレーズです。
“bandwidth”は通信用語のまま覚えていると誤解しやすい単語です。オフィスでは「余裕・キャパシティ」を表す比喩表現として覚えておきましょう。